鹿児島家庭裁判所鹿屋支部 昭和49年(家)338号 審判 1974年12月12日
申立人 松井秀次(仮名)
事件本人 水野宏二(仮名)昭三八・五・一五生
主文
本件申立を却下する。
理由
本件申立によれば、上記未成年者水野宏二は昭和四九年五月一一日水野敏子と養子縁組したが、同女が同月二八日死亡したのに伴い裁判所の許可を得て、離縁することを考えているが、同人は未だ一五歳に満たないから同人のため後見人の選任を求めるというのであるところ、民法第八一一条第二項によれば協議により離縁する場合には養親と離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でするとして、離縁後に法定代理人となるべき者に、これが協議につき一五歳未満の養子を代理する権限を認めているのであり、このことから推せば養親死亡後に養子が離縁する場合にも離縁後に法定代理人となるべき者が養子を代理しうるものと解するのが相当というべきところ、本件では申立人ら右宏二の実父母がなお健在で、右の法定代理人となるべき者がいるのであるから、離縁するにつき右宏二のため後見人を選任する必要はない(離縁すれば実父母の親権が回復するから後見の必要は更にない)ものというべきであるのみならず、離縁だけの目的のために、後見人を選任するというようなことは、後見制度の目的、趣旨にも背馳し、許されないものというべきであるから、本件申立は不適法として却下すべきである。
(家事審判官 松井賢徳)